夏の日差しと狼のいろ。


そして同じく狂暴なー銀月狼-シルバーウルフ-族と血を争って戦ってきた種族だ。

闇猫は危険で、戦いを好む。


さらに人間には深い憎しみをもっている奴が多い。


白猫はしっぽをぱたり、と地面に叩きつけた。



『聞いてます?本題に入りますけど』

ウルーは白猫のほうを見た。

嫌な予感がする。



幸せな気持ちは吹っ飛んでいた。


『せっかく生き残りの貴方が人間と絡んでいるのを見ました。
見てて虫ずが走るから始末しときました。』


白猫はまた、くすりと笑った。

『人間なんかと遊んでないでまた私たちと闘いましょ?』


ウルーはもう聞いていなかった。


ツキがーー自分なんかと居たせいで大変なことになってしまった。


初めて仲良くー…自分を愛してくれた人間。


ウルーは怒りで震えた。そして白猫の首輪を引っ張り持ち上げた。


「ツキに何をしたんだ」


白猫は迷惑そうにでも楽しそうに口を歪めた。


『殺してはないですよ傷をおわせて物見小屋に返してやりました。
脱走したんだし、あの子…』


白猫はあえて続きを言わなかった。


続きはこうだろう。


“ーあの子…殺されちゃいますね。”


ウルーはギリギリと、白猫を締め上げた。


白猫は苦しそうに顔を歪める。



『わたしを…殺す…つもり?』

白猫はそういうとウルーに向かい、目をあわせた。


怒りで大切なことを忘れていた。


闇猫族の琥珀色の瞳には金縛りの力があるということをー…!
 
ウルーの体はもう、動かなかった。

白猫を締め上げていた手は力をなくした。


白猫はたしっと地面に着地する。


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