夏の日差しと狼のいろ。
白猫は長い尻尾をふって身ずくろいしながら、馬鹿にするように言った。
『馬鹿ですねあんな人間にも狼にもなりきれない娘なんかにムキになって…』
ウルーは身体は動かないがしっかりと白猫を睨みつけた。
『金縛りがとけるのは…そうですね、早くても半日後かしら』
白猫の言葉にウルーは愕然とした。
(それじゃあツキが殺されてしまう…!)
ウルーの心にはもう悲しみしか残っていなかった。
白猫は立ち上がると、優雅に歩きだした。
そして少し振り向くと
『闇猫族の…この、私、アルテミス様に目をつけられた、自分を呪うことですね』
そう言い残すと、白猫は霧のようにしゅん、と消えていった。
ウルーはただうなだれた。