夏の日差しと狼のいろ。


<<Sideツキ

「ん…」

ツキはうっすらと目を開けた。

周りは薄暗くて、ほこりっぽい。

ツキは何があったのかぼんやりと考えた。


(そうだ…私…)

ツキはすべてを思い出した。

その瞬間体が、警戒心につつまれた。

どこにつれてこられたのだろう。


あの白猫に金縛りをされたあとからは記憶がない。


後頭部が痛むから、たぶん頭を攻撃されて気絶でもしたのかもしれない。


そこでツキはもう一つ気がつく。


首が重い。

嫌な鉄のニオイ。

ツキは自分の首をみた。


「ーーっ!」

それは重い首輪だった。

同時にすべてが蘇る。
昔のことを。
ツキの体は恐怖のせいか震え出した。


(殺されてちゃう殺されちゃう…!)



ツキは辺りをみまわした。逃げ道はない。

やはり昔からのあの牢屋だ。


いつしか服は昔みたいにボロボロの、短いワンピースだった。

ツキは自分の目に涙がたまるのを感じた。



“怖い”


その感情が心を支配して頬を涙がつたった。
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