夏の日差しと狼のいろ。
男はそのナイフを高く持ち上げた。
「そろそろ殺してやってもいいんだぞ?」
にやりと笑う顔は醜い。
ツキは確証こそなかったが睨み、答えた。
「ウルーが助けにくる、から好きにしたら?」
その言葉にさらに男はにやりと笑う。
「あの狼か?そいつはもうこないぞ?」
ツキはよくわからず首をかしげる。
「死ぬ前に真実を教えてやろうか?…アイツは今闇猫族にやられてるんだよ」
「闇猫族…?」
聞いたことのない言葉にツキは戸惑う。
しかし迷っている間にも男は言う。
「さぁ、おしまいだ。お前の人生はロクでもないハズだ」
ロクでもない…?
ツキはぴくりと耳を動かしたが怒りをとおりこして悲しみすら感じた。
確かにそうなのかもしれない。
必要とされることもなく―・・・
急に暗い気持ちに陥り、ツキは俯いて虚ろな目をした。