夏の日差しと狼のいろ。


「ウルー…っ…私っ…」


ツキは今までの恐怖とウルーが生きていた安堵と、ウルーが来てくれた安心…

色んな感情が入り混じり、涙を流していた。

ツキは横たわったまま、狼姿のウルーに手を伸ばした。

そして、  触れた。

温かくて、でも不思議で。

ツキはその温かさを感じて、涙を流し続けた。


ウルーは何か、悲しそうな瞳でこっちを見るとツキの頬の涙をなめて、言った。


『逃げろ。もうすぐココは戦場になるんだ』

ツキはウルーを見上げた。


どこか不思議な狼の瞳は真剣なものだった。

「ウルーは…ウルーは、どうなるの…?」


当たり前に浮かぶ疑問をツキは口にした。

でも、ウルーは返事をせず、こちらをみつめただけだ。


ツキはウルーがいなくなってしまうような、そんな気がした。



< 82 / 376 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop