夏の日差しと狼のいろ。
「ウルー…っ…私っ…」
ツキは今までの恐怖とウルーが生きていた安堵と、ウルーが来てくれた安心…
色んな感情が入り混じり、涙を流していた。
ツキは横たわったまま、狼姿のウルーに手を伸ばした。
そして、 触れた。
温かくて、でも不思議で。
ツキはその温かさを感じて、涙を流し続けた。
ウルーは何か、悲しそうな瞳でこっちを見るとツキの頬の涙をなめて、言った。
『逃げろ。もうすぐココは戦場になるんだ』
ツキはウルーを見上げた。
どこか不思議な狼の瞳は真剣なものだった。
「ウルーは…ウルーは、どうなるの…?」
当たり前に浮かぶ疑問をツキは口にした。
でも、ウルーは返事をせず、こちらをみつめただけだ。
ツキはウルーがいなくなってしまうような、そんな気がした。