夏の日差しと狼のいろ。
ツキはウルーを見据えた。
その瞳は悲しげな色をしていた。
『大丈夫だ、ツキお願いだから逃げてくれ』
そういうとウルーは、鼻先でぐい、とツキを押して離した。
そしてたし、たし、と二歩ほど前に歩いた。
「ウルー…」
ツキがもう一度声をかけようとした瞬間、
さっきまで驚き、ぽかんとしていた男が叫んだ。
「お前…何でココに
来やがったんだ!死んだハズじゃ…」
男は焦りの表情で、白銀に輝くウルーにナイフを向けた。
ウルーは微動だにせず、目だけがナイフをとらえた。
『俺は死んでないぞ』
地に這うような声でウルーは言った。
『今から死ぬのはアンタだ』
男がヒッ、と悲鳴をあげた瞬間、ウルーが走り出した。
男はナイフを振りかざした。
しかしウルーはそれをひらりひらりとかわした。
そして男に飛び掛ろうと構える。
次の瞬間白銀に輝く体が宙を舞った。
飛び掛かられた男は静かになった。