璃子
「でも、それは楠野さんもだろ?君も人に興味がない」
そうさ、僕は人に興味がない。
人に興味がないナツキが彼女の名前を記憶していたのは、無意識にも、こう感じていたからかもしれない。
彼女も僕と同じ種類の人間だと。
彼女には雰囲気は生活感というものがなく、何処か異質を感じさせる。
冷たくて、少し浮いていて。
どんな時も、何処か一歩引いてしまう。
しかし、璃子は目を丸くして言う。
「私が?」
ナツキは頷く。
「私は人が大好きよ」