君と出会えたあの夏
「う、俺っ
 にーちゃ、んみたいに
 ほ、ほしのせんせいに
 なる!
 いっぱい、いっぱい
 べんきょする!」


かずはニカッと笑った。

「あ、ありがとう。
 あ、ありがとう…」


頬に涙が一筋流れた。


俺は幸せだな。


何故かそうふいに思った。



親父、今までありがとう!

母ちゃんありがとう!

照れくさくて何時も

言えなかった。

言えば良かった。


後悔してる。

ごめんな…


迷惑かけて…




走馬灯ってこの事か。


味わって初めてわかるんだな。



あぁ。



瞼が重い。



体温が下がってきた。



あぁ死ぬのか。俺。


かず、そんな顔すんな、

もう声もでないか。

笑って送れよ、最後なんだから


ピーポーピーポー


救急車の音か。


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