神様修行はじめます! 其の二
その刹那

彼の目に強い光が生まれた。


彼の意識が・・・


完全に戻った!


あたしの姿を間違いなく認識した!



生命力の戻った表情で、あたしを見つめる。

そして、必死に手を伸ばしてきた。

あたしに向かって。


あたしも、ほとんど無意識に彼に向かって手を伸ばす。


でも腕はもう動かなかった。


彼の口から、大きな泡がもれるのが見えた。

何かを叫んだようだった。


聞こえない・・・。

聞こえないの、門川君・・・。



巨大な魚が、もうほんの足元まで迫っていた。

門川君、逃げて。逃げて。



― ボオウゥゥ ―


濁った水が白く輝きだした。

純白の清らかな輝き。

これは・・・懐かしい光。


彼の手が、印を結んでいた・・・。

< 101 / 654 >

この作品をシェア

pagetop