神様修行はじめます! 其の二
「それではしま子、頼むぞ」

「うあぁ」


しま子が門川君を背負い、歩き出した。

あたしも絹糸を抱いて歩き出す。


川沿いを皆、無言で歩いた。


さらさらと流れる水の音。

澄んだ虫の音色が響く。

蛍のような光る何かが、空をいくつも舞って明かりを灯していた。


穏やかな夜の景色の中、逃げ延びようと、ひたすらに急ぐあたし達。



門川君、大丈夫だろうか。

ぐったりとしてしまっている。

また意識を失っているのかもしれない。


どうしよう。

間に合わずに、このまま彼に、もしもの事があったら・・・!


一刻も早く行かなくちゃ!

一刻も早く!

その・・・



あたしの足は、無意識に遅れた。



その・・・

婚約者のいる所へ

彼を連れて行かなくちゃ・・・。

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