神様修行はじめます! 其の二
肩まで届く、真っ黒な髪を後ろに結った、執事。

細身で長身。

そしていかにもキレ者そうな、鋭利な印象の美青年。


「永久様を馬車にお連れして。セバスチャン」

「承知いたしました」


セバスチャンと呼ばれた執事さんは、しま子から門川君を受け取った。


そして優雅な手つきで彼を運んだ。


これまた、いつの間にか用意されていた・・・


『牛車』に。


車の部分はね、間違いなくヨーロッパ風なの。すごくオシャレな。


そこだけ見ると、明らかに、馬車。

おとぎ話に出てきそうな。


でも、引いてるのが牛なんだもん!

牛車だよね? これって。

急いでる時に、牛っ!? 牛なの!?


「皆様もどうぞ。お屋敷までご案内いたします」


低く静かな、どこか甘い魅力的な声。

執事さんがそう言って、かしこまる。


・・・運ばれちゃったのを、引きずり出すわけにもいかないし。


しかたない。それじゃ、お言葉に甘えて。

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