神様修行はじめます! 其の二
「セバスチャン、皆さんをお願い」

「承知いたしました」


執事さんが、かしこまる。


「皆様、お屋敷をご案内致します」

「案内されずとも、よく知っておるわい」

「どうぞごゆっくりお過ごし下さい」

「うむ。・・・小娘、行くぞ」

「うん・・・」


絹糸に急かされて、あたしはようやく腰を上げるタイミングがつかめた。


それまで、重りがついたように腰も足も動けなかったから。


部屋を出る瞬間、あたしは彼を盗み見た。


彼は・・・あたしを見ようともせず、お岩さんと笑顔で話していた。


「・・・・・」


あたしは無言で、そのまま部屋を出て行った。




案内されたのは、大きな大きな中庭に面した部屋だった。


牛やニワトリ、合鴨や虫たち。

いろんな生き物が、たんさん集まっている。


そこの縁側に、あたしは力なく腰掛ける。

ぐったりと背中を丸めて。


疲れた・・・。

体も心も、何もかもが重苦しい。


ぼーっとした頭で、中庭を眺めていた。

重い頭を、頬杖で支えながら。


もう、何も考えたくない・・・。

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