神様修行はじめます! 其の二
「絹糸様が、あれほど名前にこだわる理由をご存知ですか?」


・・・へ?


ズリ下がって防御体制をとっていたあたしは、キョトンとした。


名前にこだわる理由って・・・。

そりゃ、たんに気に入らないからじゃないの?


「もちろん、それもございますが・・・」

「・・・?」

「名というものは、特別な力を持っているのです」

「特別な力?」

「力関係です。主従関係と言ってもいい」


主従関係って・・・。

名前と主従と、いったい何の関係があるの?


首をかしげているあたしに、セバスチャンさんはゆっくり説明してくれた。



考えてみてください。

お嬢様に名を与えたお方は?


そのお方は、お嬢様よりも上の立場ではありませんでしたか?


動物に命名する者は?

その動物よりも上の立場では?


街、建物、橋は?

命名する者は、それらを管理し支配する者ではありませんか?

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