神様修行はじめます! 其の二
「あ・・・ご存知なかったのですか?」

「なかったです! 全然!!」


教えて! 人質ってどーゆー事!?


あたしの勢いに押されて、セバスチャンさんは体を反らせた。

そして、少し思案する表情になる。


やがて野菜を置き、事情を説明してくれた。


「絹糸様は、遥か昔、門川の先祖に捕獲されたのです」



どれほど昔の話なのか・・・。


出産のため、絹糸様はこの世界を訪れた。


異形のモノが大量に存在するあちらよりも、この世界の方が安全だからです。


ところが、運悪く・・・

出産の最中に、門川の先祖達に見つかってしまった。


神獣と、その子ども。

逢う事すら、ほぼ不可能な存在。


先祖達は、大喜びで捕獲したそうです。


そして、生まれたばかりの子を人質にとり、脅した。


「子どもを殺されたくなければ、自分達に服従しろ」と・・・。


出産したばかりで弱り切っていた絹糸様は、屈服するより他になかった。


それ以来の長き年月、門川に支配され続けてきたのです。


我が子に会う事を禁じられながら。

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