神様修行はじめます! 其の二

「帰るの、やーめたぁっっ!!!」


ひときわ大声でそう宣言した。


両腕をダラリと下ろし、ふうっと息をつく。

首をガクンと後ろに反らし、夜空を見上げた。


そして・・・しみじみと思う。


あぁ、こっちの世界に来てから、もう散々だったなぁ。


祠から落っこちるし、怪鳥には殺されかけるし、怨霊にも襲われるし。


とどめは、門川君だよ。あの男。


もう信じられない現実が目白押しだよ。


彼の冷たい言葉の刃も現実。

冷酷な仕打ちも現実。

徹底的な拒絶も現実。


どれもこれも、信じられないほど悲惨な現実。

思い返すほどに、自分が哀れに思えてくる。


あたしは夜空から視線を移した。

そしてこれも、現実。


しま子の優しい笑顔。

真心の花束。

絹糸のひねくれた思いやり。

子猫ちゃんの心配そうな金色の目。

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