神様修行はじめます! 其の二
「門川全般の食料を担う一族を、根絶やしにする愚かな選択はしませんよ」

「・・・ふむ」


男は自分のアゴに手を当て、つくづくとセバスチャンさんを見た。


「そんな危険を冒すより、弱みを握って一生飼い殺しにするつもりでしょうね」


「なかなか切れる男のようだな」


「お褒めに預かりまして」


セバスチャンさんは腰を曲げ、男に向かって優雅に一礼する。


男はそれを見て、声を上げて笑った。


「切れる男なら、気付いているだろう」


「何に、でしょうか?」


「そうであっても、歯向かう者に奥方様の慈悲は無い、という事だ」


「・・・・・」


「その時には、門川全勢力が一族を潰しにかかるぞ」


「・・・・・」


「弱小一族が、どう戦うつもりだ?」


男は、余裕の態度で勝ち誇った。


「権田原は絶滅だ。それよりも永遠に奴隷となって生き延びるがいいさ」


男の乾いた笑い声が、耳に不快に響いた。

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