神様修行はじめます! 其の二
「僕はあの日の約束を忘れない。兄上もきっと覚えて下さっている」


門川君は、ゆっくりとそう言った。

自分に言い聞かせるように。


門川君・・・。

お兄さんとそんな思い出があったんだ。

そんな約束を交わしていたんだ。


本当に優しいお兄さんだったんだね。

きっとお父さんに似たんだ。


そんな兄弟を、奥方は引き裂いてしまった。

自分勝手なエゴのために、兄弟を対立させた。


なんてヒドイ話なんだろう。


門川君は、お兄さんを信じたいんだ。


わかる。

だって、たった一人の兄弟だもの。


もう、この世で最後に残った、たったひとりの近しい血縁。


そのお兄さんとの絆を信じたいんだ。


お兄さんともう一度、笑顔で向き合いたいんだ。


兄だけは・・・

兄だけは門川の中で、自分の死を望んでるわけじゃないって信じたいんだ・・・。


その願いを叶えてあげたい。

その希望を叶えてあげたい。

でも・・・。

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