神様修行はじめます! 其の二
腕をつかむ手に、力が込められる。


「何が『他人が口出しするな』だ。君にそんな事を言う権利はない!」


あたしは無言で彼の手を振りほどいた。

そして、かれの和服の胸ぐらをつかむ。

グイッ!と思い切り引っ張った。


「・・・っ!」


彼は前のめりになり、なんとか倒れないように踏ん張った。


彼の目とあたしの目が、ぶつかりそうなほど近づいた。


「誰に向かって言ってんの・・・?」

「・・・・・」

「あたしの頭をイジッて大切な宝物を消し去ったそっちこそ、そんな権利ないのよ」

「・・・・・」


彼を睨みつけて、ギリッと握っていた胸ぐらを離した。


そのまま彼を無視して歩き出す。

部屋の出口へ向かって一直線に。


無視しながらも、あたしは・・・

彼の存在と視線を、痛いほどに背中に感じていた。


そして思った。


あぁ・・・またこれで・・・

彼との距離が遠ざかったなぁ・・・。

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