神様修行はじめます! 其の二
部屋を出た。

止まらず真っ直ぐ歩いていく。

誰の視線も気配も、もう背中に感じられない。


側にいるのは、しま子だけ。


「うっ・・・・・」


こらえきれずに、涙があふれた。

泣きながら、それでも止まらず歩いていく。


「うっ・・・く・・・」


バカみたい。なに泣いてんのよ。

自分で望んだ事でしょうが。

決めたんでしょう? 


今までの自分と決別するって。

そして絶対に彼を守るって。


彼の側にいたいんだ。彼の側に。いたい。

どんなに・・・心が離れてしまっても・・・。


側にいなければ、守ることすら出来なくなってしまうんだもの・・・。


守るためなら、そのためなら・・・。

一生彼に憎まれ続ける事を、あたしは選ぶ。


「うっ・・・う・・・」


あたしは立ち止まった。

ギュウッと力一杯、両目を閉じる。


止まれ、涙、止まれっ。

・・・泣くな、あたしっ!!

< 268 / 654 >

この作品をシェア

pagetop