神様修行はじめます! 其の二
「ねぇ、いっそ壁ごとぶっ壊せば?」


しま子だったらできるよ? 材質はただの竹なんだし。


良かったらあたしも手伝うよ。


あぁ、やっぱり権田原の道具小屋から、なんか持ってくればよかったな。


「お前の発想はいつも単純明快じゃのぉ」


絹糸が呆れた顔をした。


「それが出来れば、誰も悩まないんだよ」


門川君も、メガネのブリッジを押し上げて溜め息をつく。


・・・そうか。よく分かんないけど、話はそう簡単じゃないのか。


でも、ここまで来て回れ右して帰るわけにもいかないし。

困ったなぁ。

・・・・・・・。


・・・・・ん?


なにか、感じた。

視線? 人の気配?


しまった! 見つかったか!?


あたしは、バッと後ろを振り返った。


・・・・・あれ? 誰もいないや。

なんだ、気のせいだったか。


ホッと安心しながら、前を向いた。


・・・・・・・。

やっぱり何か感じるっ。


もう一度、勢い良く振り返る。

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