神様修行はじめます! 其の二
「我がどうこう言うよりも、これが永継本人であると、血で理解できる者がおる」


それって、つまり・・・。


あたしは、恐る恐る隣を見上げた。

呆けたように、ミイラを見つめている門川君を。


いつもの冷静沈着な姿は、見る影も無い。

理解できない現実に直面して、茫然自失の状態だ。

「兄上・・・兄上・・・」

上の空で、その言葉だけを繰り返しつぶやいている。


「門川、く、ん・・・」

あたしも目の前の状況が、よく理解できない。

いったいこれって何なのっ。

なんで・・・なんで・・・


なんでお兄さんがミイラになってるのっ!!?


札が貼り付けられて・・・

それって、つまり、誰かが貼り付けたって事だよね?

お兄さんの遺体だって知ってて、貼ったんだよね?

生きてるように、見せかけてたって事だよね?


そんな・・・

そんな事をする人間は・・・


そんな事をする必要のある人間は・・・


ただ、ひとり。



「・・・・・兄上―――っ!!」

門川君は叫び、ミイラに駆け寄った。

< 294 / 654 >

この作品をシェア

pagetop