神様修行はじめます! 其の二
お兄さんのミイラの隣に、綺麗な女性が立っていた。

お兄さんを守るかのように。


濃い紺色の無地の着物が、薄暗い空間に溶け込んでいる。

深い柿色の帯。

素足の爪を染める赤。


無造作に垂れた黒髪。

一重の切れ長の目。

長いまつ毛。

真っ白な肌。


対照的な赤い紅。


その赤い紅が動いた。


「大罪人、永久。永継様を殺めに来たか」


この声、ひょっとしてさっき聞いた声?

てっきりお兄さんの声だとばかり・・・。


「お前、何者じゃ!」

「・・・永継様を護衛する者」

「護衛じゃと!?」

「名は・・・秋風(あきかぜ)」


秋風と名乗った女の手が、揺れた。

絹糸が素早く後ろに飛ぶ。


絹糸の足元に、刃物が勢い良く突き刺さった。

速い・・・! 見えなかった!
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