神様修行はじめます! 其の二
それにともない、母親は狂ったように自分を責める。

その上、弟に対する母の仕打ちは、もはや正気の沙汰とは思えなかった。


自分が力を発動できないがゆえに、実の弟の命が、実の母によって脅かされている。


永継様の心は、追いつめられていった。



それでも永継様は、耐えた。

自分は、一日も早く当主になる。

そして門川を、母を、弟を立派に守ってみせる。

それが自分の望む事。

自分の成す事だと・・・。


それだけを、その望みだけを、心の支えにして・・・。


だが・・・

その望みすらも・・・



『当主は、永継様ではなく永久様こそがふさわしい』

そんな声が日増しに大きくなっていった。


永久が当主になる?

第一子の自分ではなく、弟の永久が?


『永世様が、永久様を引き取って育てたいとおっしゃったらしい』

『きっと次期当主として育てるつもりなのだ』


・・・・・。


ならば・・・

ならば自分の存在意義は?

今までの日々は?


自分はやはり、でき損ないなのか?

失敗作?

門川の血を引かぬ子ども・・・?
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