神様修行はじめます! 其の二
「秋風! あなたは奥方に騙されてるんだよ!」

あたしは暴れる絹糸を抱きしめながら叫んだ。

「奥方に利用されてるだけなんだよ!」


死んだ人間が当主になれるわけがない。

死んだ人間が、門川を統治できるはずがない。


じゃあ、誰が統治するの?


答えは・・・


奥方。あの女だ。

あの女が、陰の当主になって門川を支配するつもりなんだ。


なんて醜い権力欲。

我が子の自死を目の前にしながら・・・


当主の座にかじり付き、絶対に離そうとしない。


その死に物狂いの我欲の凄まじさ。

もう奥方の精神は正常じゃない。


奥方は、はっきりと自覚を持って、門川一族を乗っ取ろうとしているんだ。


「門川乗っ取りの企みに、利用されてるんだよ!」


お兄さんの死を悲しむ、この人の気持ちを利用したんだ。

自分の利益の為に、人の心を利用する。

実の息子の命までも!

なんて・・・なんて非情な!


「・・・それがどうした?」

秋風は、目の前でふぅっと笑った。
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