神様修行はじめます! 其の二
「・・・え?」

「利用されている事など、とうに承知しておるわ」

「・・・・・え?」

「そんな事、どうでも良いこと」


秋風は、お兄さんのミイラの頬に手を伸ばした。

そしてうっとりと目を閉じ、愛しげに頬を寄せる。


「永継様が、どんな形であれ生きてくれれば・・・それでいい」


うっすらと目を開け、あたしに向かって笑いかける。

「門川当主の座など、もはやどうでも良いわ」


ふふ、ふふふ・・・。

ねぇ、永継さま・・・・・。


愛しげに、さも愛しげに・・・

秋風は、お兄さんのミイラの頬をなで続ける。

微笑んで唇を寄せた。


絹糸がその様子を見て、がくりと体から力を抜いた。


あぁ・・・この人は・・・。

この人の心は・・・もう・・・。

あたしは、ぎゅっと唇をかみ締めた。



「そのためにも、秘密を知った者は生かしてはおけぬ」

秋風が、お兄さんのヒザに突っ伏す門川君を見た。

そして、にやりと笑う。


「永久、お前はただでさえ・・・・・生かしてはおけぬ!」

ギラリと両目に狂気が宿り、彼女の手が揺れた。
< 311 / 654 >

この作品をシェア

pagetop