神様修行はじめます! 其の二
門川君が、ついにガクンと両ヒザを地に付けた。

はぁはぁと大きく息を吐き、肩を揺らしている。


「門川君! しっかりして!」

「もうそろそろ・・・大丈夫だろう」


門川君は正座をして体勢を整えた。

「絹糸、しま子、来い」


絹糸としま子が、よろよろと近寄った。

門川君が両手で印を組み、目を閉じて集中する。

白く輝く円陣が地面に現れた。

強い光があたし達を包み込む。



『一滴の刻印、一粒の斑紋。

謀略と侵食と破壊。

癒しの水、黄金の風の流砂にて飲み込まれん。

行く先の、果て無き彼方、儚き消滅。

消え去るのみ、其は狂乱の虚しいうたかたよ・・・』



体の中を、彼の声と共に何かが走りぬける。

透き通った水。輝く風。

さぁぁっと音をたてて、一瞬で全身が満ちる。


あぁ・・・なんて綺麗なものに満たされているんだろう。

とても、とても綺麗。

余計な物なんて、なにも、何ひとつ入り込む余地なんか無い。
< 336 / 654 >

この作品をシェア

pagetop