神様修行はじめます! 其の二
印が解かれ、円陣が消滅した。

白い輝きが消え去る。


周囲は、細やかなエメラルドグリーンの光が瞬いていた。

絹糸が門川君を見る。

しま子は、あたしを見ていた。


「今までも、僕に近づく者達は確かにいた! でも皆、すぐに僕から離れていった!」


両のコブシで、地面をがんがんと殴りつける。

そして彼は叫び続ける。


「なのになぜ君だけは離れない!? あれほど冷たい言葉と仕打ちで、突き放そうと努力したのに!」


彼は、ぐいっと頭を上げてあたしを見た。

悲痛な表情だった。


「僕は・・・僕はあとどれくらい、僕の言葉で傷付く君を見なければならないんだ!?」


見たくはない! もう見たくないんだ!

彼はあたしに向かって、そう叫んだ。

哀願するような切なげな目。

その必死な声。


その目を見て、その声を聞いて。

あたしの目から涙がこぼれた。


そっか・・・。

門川君も苦しんでたんだ。

そうなんだ・・・。
< 339 / 654 >

この作品をシェア

pagetop