神様修行はじめます! 其の二
「そっとしておくという発想は無いのか?」

「うーん、そうも思ったんだけどさ」


どうしても気になったからさ。

そう言ってあたしは絹糸の隣に座り込んだ。

しま子も、反対側に座り込む。


「でっかいのに挟まれて、落ち着かぬわ」

「絹糸、谷間の白百合みたいで可愛いよ」

「なにを言うておるか」


シッポをユラユラと動かして、溜め息をつく。

そんなあたし達の様子を、門川君が少し離れた場所から見ていた。


「・・・・・」

「・・・・・」


誰も何も言わなかった。

黙って座り込み、ただ暗い景色を見る。


豊かに実った稲。

あぜ道に咲く小さな黄色い花。

ぼんやりと見える山の峰。

静かに響く虫の声。


全てが薄暗がりの中、物静かに浮かび上がる。


「・・・・・なぜ何も聞かぬ?」

絹糸の声が聞こえた。
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