神様修行はじめます! 其の二
あの縁側に座り、あの庭を眺め・・・

我の背を撫でておった。


『絹糸』

『・・・なんじゃ?』

『頼みがあるんだ』


たくましい手が、背を撫で続ける。

温かい手が。


『母上と永久を守ってやってくれ』

『・・・断る』

『頼むよ。絹糸しか頼める相手がいないんだ』

『自分で守るがよいわ』

『そのつもりだったが・・・もう出来なくなる』

『・・・・・』

『どうか、守ってやって欲しい』


頼むよ、絹糸。

そう言って・・・

たくましく温かい手が、我の背を離れた。


歩いて行く。去って行く。

永守が。

我が育てた永守が。


『生きて帰って、自分で守れ。そんな無責任な男に育てた覚えはないわ』


永守は振り返り・・・

笑った。

とても穏やかな温かい目をしていた。


それが・・・


最後だった・・・。

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