神様修行はじめます! 其の二
「永守の遺体は還らなかった。異形のモノに喰われたらしくての」


永久の母親と共に戦い、そして逝った。

髪の毛一本も。

爪のひとかけらさえも。

何も・・・何ひとつ遺さずに・・・。


「本当は、あの時こう言いたかったのであろう。『華子と永継も守ってくれ』と」


だが・・・。

とても、そんな事を頼める状況では無かった。

すでに後継者争いは激化していて。

華子は、我々を完全に拒絶しておったからのぉ。


頼みたくても・・・頼めなかったのであろう。


言えない想いと願いを我に託し、永守は逝った。


「人間とは、ほんに勝手な生き物よ」


我を勝手に神と崇めて。

好き勝手な事を言っては、さっさと先に死んでいく。

『最期の願いをきいてくれ』

そう言って願いを遺し、逝ってしまう。


我には何も遺さぬくせに。

髪の毛一本も、爪のひとかけらさえも・・・。


永世の夫も、永守も。

永世も、ナオも。

みんな、みんな・・・。

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