神様修行はじめます! 其の二
いずれ先に逝ってしまうものならば。

いずれ失うものならば。


側になど置いておきたくはない。

失くすと分かっていて、心を寄せたくはない。


失った後で・・・その心をどうすればよい?

もうすでに無いものに、どう折り合いを付ける?


想いと願いばかりが遺され

その願いも我には叶えられず

そして我に応えるものは、何も無い。


そんな事ばかりを繰り返し、我だけが生き長らえて・・・。

我だけが・・・。



「人の世に、我は長く居過ぎたのやも知れぬ」

「絹糸・・・」

「時折、思う。もう全てを振り切って・・・」


絹糸の言葉が途切れる。


全てを振り切って・・・全てを捨てて・・・

いっそ人の世に別れを告げる。

そう言いたいんだろうか。

それを望んでいるのだろうか。

この、美しい生き物は。

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