神様修行はじめます! 其の二
「そこまで考えて・・・僕は呆然としたよ」


それらは全て・・・

全て僕が君にした事だ。


君の幸せを願う。

そう言いながら、その実、僕は自分の辛さに耐えられなかっただけだ。

君を失う恐怖に耐えられなかっただけだ。

その恐怖から逃げ出したかったんだ。


逃げ出す事を『君の幸せのために』などともったいつけて正当化したんだ。


僕は君の意思をないがしろにした。

自分が楽になるために。


そして捨て去ろうとした。

君と過ごした、確かにあった現実を。

かけがえのない大切な物を。


「穴があったら入りたかったよ」


絹糸の心の苦しみにも気付かず

君の意思を勝手に踏みにじり

それでも自分は正しいと信じ込んでいた。


自分の愚かさ加減が、本当に恥ずかしい。



天内君。

僕の勝手で君を傷付けて本当に申し訳なかった。

本当にすまなかった。

ただ・・・

君の幸せを守り抜くと誓ったあの気持ちだけは・・・


本当に、決して嘘じゃなかったんだ。

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