神様修行はじめます! 其の二
「永久にとっては、そう言っておるつもりなのじゃ」

「あれじゃ伝わらないよ、全然っ」

「まぁ、長い付き合いの我にしか伝わらぬであろうのぉ」


そう言って絹糸は苦笑いをした。


「永久はのぉ、他者との関わり方が分かっておらぬのじゃよ」


今まで、まともに他者と付き合った事が無いのでな。

その絹糸の言葉に、あたしは呆れると同時に納得した。

うん。あれじゃー、無理だわ。

絹糸以外には通じないよ。まるで。


自分の真意がまるで他人に伝わらない。

どう伝えればいいのかが、まるで分かってない。

そもそも、自分の真意が自分で分かってないっぽいし。


異形のモノに対しては最強無比だけど。

人間社会に対しては、なじんでないよなぁ。


情緒面の発育と同時に、人との関わり方まで教育しなきゃならないのか。

・・・前途多難だわぁ・・・。


当主さんの部屋へ皆で向かいながら、密かに心の中で溜め息をついてしまった。



「当主よ、入るぞ」

当主さんの部屋へ着いて、障子を開けた。

門川君、当主さん、セバスチャンさんの三人がいた。


「遅かったな、待っていたぞ」

門川君が、あたし達を見るなりそう言った。

・・・やっぱり待ってたのか。

あたしに伝言したつもりだったのね。

うぅ~~~む、前途多難。
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