神様修行はじめます! 其の二
「セバスチャンさん、すごい!」

「権田原の民は純朴。いくらでも手玉に取れる、と思われておりますから」


チョロい一族だと思われてるわけね?

全然チョロくない人物が、いるんだけどね。ここに。

当主や当主の娘に、陰のように寄り添って。


こりゃ権田原一族を甘く見ると、痛~いしっぺ返しがくるぞぉ。


「どれくらいの時間があれば、それができる?」

「もうほとんど全て回り終えております」

「え!? そうなのっ!?」

「ジュエル様が、最後の相手の交渉に行っておられますので」


お岩さんが? なるほど!

あんな奇妙なカッコしてる小娘が相手だもん。

そりゃいくらでも手玉に取れると考えるわ。

猟師の目の前の、丸々と太ったカモよ。カモ。


ほんっと、抜け目ない人だぁ。この人って。


あたしは、澄ました顔をしているセバスチャンさんを盗み見た。

・・・逆らうのはやめとこう。
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