神様修行はじめます! 其の二
「天内さんと『今度、ゆっくりお話しようね』って約束してましたの」

能面から、急にニッコリ笑顔に変貌するお岩さん。

あの、そんな約束した記憶、まったくありませんけど・・・。


「ね、お話しましょう天内さん。・・・女同士、ふたりっきりで」


・・・笑顔と声に、凄みが増している。


『女同士』って言葉に、ひどく危険な要素が含まれている気がする。

とめどなく、陰惨に、ねっとりと、黒いモノを含んでる気がする。


『女同士』って・・・怖い。


「君達はすっかり仲良くなったようだな」

「えぇ。ですから永久様はお先に戻ってくださいな」

「わかった。先に失礼しよう」


門川君は、あたしの肩をポンッと叩いた。

天内君、それじゃ。それだけ言って彼はあたしを残して去って行ってしまう。

あぁ~、門川君・・・!


全身から、イヤな汗がじっとりと滲んでる。

あたし、三角関係って初体験なのよ。

修羅場ももちろん未経験だし。


その初戦相手が、マリー・アントワネットも真っ青な、派手なドレス姿のお岩さん。

ハンデありすぎて、心細いったらない。


「天内さん」

「・・・・・っ」

「どういう事か説明して下さるわね? 天内さん」

「・・・・・」
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