神様修行はじめます! 其の二
・・・仕方ない。
あたしは溜め息をついて、お岩さんに向き直った。
お岩さんはまた能面みたいに無表情になってる。
完全に臨戦態勢だ。
・・・腹くくるより他に、ないでしょ。
できれば決戦前夜に直接対決は避けたかったけど。
自分の婚約者が、他の女と抱き合ってるのを目撃したんだもん。
そりゃあ決戦前夜も出産前日も関係ないわ。
あたしだって、即座に体育館倉庫に呼び出しよ。そんなの見たら。
「お岩さん、あたしね・・・」
「何かしら?」
攻撃的な視線と口調のお岩さん。
あたしは、あえてゆっくりと語りかける。
「あたしね・・・門川君の事が好きなの」
好きなの。門川君が。
本気で、本気で好きなの。
彼の事が好き。
それが嘘偽りのない、あたしの正直な心。
あたしの、真実。
この命を懸けるほどに・・・
止めようがないほどに・・・
どうしようもないほどに・・・
真っ直ぐに、純粋に、彼が好きなの・・・。