神様修行はじめます! 其の二
「ただ、なんですの?」

「それはとても幸せで・・・辛い日々だろうね」

「・・・・・」

「こっちの世界では、その愛人制度ってのは一般常識なのかもしれないけど」

「変わりませんわ」

「え?」

「人を愛する切なさは、こっちもそっちも何も変わりませんわ」

「・・・そっか」

「わたくしは、絶対に嫌ですわ!」


いきなり強い口調で、お岩さんはそう宣言した。


「愛人なんて、絶対になりません!」


キリッと眉を上げて、夜空を睨むように言い切る。

「絶対に! 絶対にですわ!」


た、確かにお岩さんなら・・・。

本妻をぶっ潰して、自分がその場に座りそうだね・・・。


「だいたい、バカにしてると思いませんこと!? なーにが『愛人制度』よ!」


くるんっと勢い良くこっちを振り向き、早口でまくし立てる。


「自分達の権力欲しさに、人の結婚相手を勝手に決めるなんて!」

「そ・・・そうだね」

「人の幸せより、自分達の権力が最優先なんて最低よ!」

「う、うん」

「権力を手に入れるために、他人の人生踏み潰すなんてクズよクズ!」

「うん」
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