神様修行はじめます! 其の二
「答えなんてのはね、ずいぶん後になって振り返ってから、気がつくと落ちてるもんさね」

「・・・・・」

「だからあんたは、行く。それで良いんだよ」


門川君は、白と金の細長い姿を見ていた。

眼差しが揺れている。

たくさんの感情が湧き起こり、ざわめいているんだろう。


苦しみ、悲しみ、せつなさ。

巡り合い、触れ合い、思い出。

そのうえでの決意と行動。


「それで良い」と肯定してくれた事を、彼は感謝しているんだろうか。


「さあて・・・。ちょいと! あんた達!」

主さんは、鬼達に向かって声を張り上げた。

「あんた達はお呼びじゃないよ! 元居た所へお帰り!」


鬼達は、その声を聞いて居心地悪そうにしている。

でもやっぱり逃げ出すまではいかない。

こちらの様子を伺うようにしている。


「ふん、さすがは鬼だね。でもだいぶ力は封じられてるはずだよ」

主さんは、こちらに濃紅の目を向けた。


「なにぐずぐずしてんだい。さっさとお行き」

「主さん、あたし達を助けるために来てくれたんだね?」

「こんな見た目の悪い奴らに近所をうろつかれたんじゃ、空気が悪くて仕方ないからねぇ」


別に助けに来たわけじゃないんだよ。

主さんは、そっけなくそう言った。
< 527 / 654 >

この作品をシェア

pagetop