神様修行はじめます! 其の二
人の命運を手玉に取り、悪を生み出す者。
それを可能にできる者。
果たしてそれは、人に成し得る事なのだろうか。
ここに居るだけで、威圧される存在感。
周囲の全てを狂わせる。この女は・・・
人とは思えぬほどの、不思議なほどの妖しく暗い、強力な何かを持っている。
何ひとつ感じる事の無いような、無表情な顔。
その表面に、ムラ無く綺麗に塗られたお白粉。
口元を染める紅。
その紅い唇が動いた。
「わらわは目通りを許してはおらぬぞ。永久よ」
感情の無い声が、ただ抑揚も無く響く。
門川君は無言のまま、足を前に出した。
あたしもすぐ後に続く。
畳を滑るように歩き、部屋の真ん中に進む。
そして背筋を伸ばし、彼はスッと正座した。
手を着き、深々と頭を垂れる。
「母上、お久しゅうございます」
「去れ」
「ご無礼の段、平にご容赦下さい」
「去れ」
頭を下げたままの門川君。
奥方は扇子を広げて口元を隠し、同じ言葉を続けた。
まったく感情の見えない声で。
「・・・去れ。永久」
それを可能にできる者。
果たしてそれは、人に成し得る事なのだろうか。
ここに居るだけで、威圧される存在感。
周囲の全てを狂わせる。この女は・・・
人とは思えぬほどの、不思議なほどの妖しく暗い、強力な何かを持っている。
何ひとつ感じる事の無いような、無表情な顔。
その表面に、ムラ無く綺麗に塗られたお白粉。
口元を染める紅。
その紅い唇が動いた。
「わらわは目通りを許してはおらぬぞ。永久よ」
感情の無い声が、ただ抑揚も無く響く。
門川君は無言のまま、足を前に出した。
あたしもすぐ後に続く。
畳を滑るように歩き、部屋の真ん中に進む。
そして背筋を伸ばし、彼はスッと正座した。
手を着き、深々と頭を垂れる。
「母上、お久しゅうございます」
「去れ」
「ご無礼の段、平にご容赦下さい」
「去れ」
頭を下げたままの門川君。
奥方は扇子を広げて口元を隠し、同じ言葉を続けた。
まったく感情の見えない声で。
「・・・去れ。永久」