神様修行はじめます! 其の二
「そうはいかぬ儀がございます」
「ほう・・・」
瞬きもせず、奥方は門川君をじぃぃっと見続けている。
粘りつくような視線・・・。
あたしは彼の背後に立ちながら、その視線を断ち切ってやりたかった。
「して、その儀とは?」
「見ました」
「見た? なにをじゃ? 申せ」
「・・・・・」
「即答せよ。永久」
「兄、永継の姿を」
「・・・・・」
「見ました。この目で」
扇子が、ぱちんと音を立てて閉じられた。
紅い・・・紅い唇。
瞬かない両目。
「・・・して? 何とする?」
「僕が門川の当主となります」
「ほう・・・? お前が?」
「はい」
「当主とな? お前が門川の当主とな?」
ぱちん、ぱちん、ぱちん
耳障りな音が響く。
それ以外は何も聞こえない。
誰も、何も言わない。
あたしの耳には、自分の呼吸の音と、心臓の音と、扇子の音だけがしばらく聞こえていた。
やがて・・・
「ほっ、ほっ、ほっ、・・・」
奥方の機械的な笑い声が聞こえてきた。
「ほう・・・」
瞬きもせず、奥方は門川君をじぃぃっと見続けている。
粘りつくような視線・・・。
あたしは彼の背後に立ちながら、その視線を断ち切ってやりたかった。
「して、その儀とは?」
「見ました」
「見た? なにをじゃ? 申せ」
「・・・・・」
「即答せよ。永久」
「兄、永継の姿を」
「・・・・・」
「見ました。この目で」
扇子が、ぱちんと音を立てて閉じられた。
紅い・・・紅い唇。
瞬かない両目。
「・・・して? 何とする?」
「僕が門川の当主となります」
「ほう・・・? お前が?」
「はい」
「当主とな? お前が門川の当主とな?」
ぱちん、ぱちん、ぱちん
耳障りな音が響く。
それ以外は何も聞こえない。
誰も、何も言わない。
あたしの耳には、自分の呼吸の音と、心臓の音と、扇子の音だけがしばらく聞こえていた。
やがて・・・
「ほっ、ほっ、ほっ、・・・」
奥方の機械的な笑い声が聞こえてきた。