神様修行はじめます! 其の二
「ならぬ。門川当主の座は永継のものじゃ」

ほっ、ほっ、ほっ、・・・。


目も口も、まるで笑っていない。

無表情のまま声だけが笑い続ける。

まるで、からくり人形が笑っているようだ。


「当主は永継が継ぐ。鉄の掟じゃ」

「僕が継ぎます」

「ならぬ。永継が当主じゃ」

「恐れながら、もはやそれは不可能であると存じます」

「ほぉう? あくまでもお前が継ぐとな?」

「はい」

「ほおぉう・・・?」


門川君は頭を下げたまま、はっきりと宣言した。



「門川当主の座・・・継ぎます」



奥方の視線の粘度が強まった。

一重の両目に、鈍い光が宿る。

狂気の・・・目。

無機質な空気が、ぴしりと崩れていく。


「しかしそれは、わらわの一存では了承できぬのぉ」

「はい。この後、長老会にて協議に・・・」

「本人同士、話し合わねばなるまい」

「・・・・・は?」


門川君が、いぶかしげな視線を上げた。


「お前がどうしても当主の座を欲するというなら、仕方あるまい」


ぼおおぉぉ・・・!!


門川君の目の前に、青黒い光の円が浮かび上がった。
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