神様修行はじめます! 其の二
薄黒い輝きが、高い天井に向けて徐々に放たれる。

奥方の目の狂気の光が、それにつれて強まっていく。


暗い光の円の中心に、何かが現れ始めた。


門川君が素早く身を起こし、片ヒザ立つ。

あたしは彼の肩につかまり、円の中心を見た。

妖しい気配。

禍々しい空気が充満する。

何が・・・何が出てくる!?


「どうしてもと言うなら、仕方ない。仕方ないのぉ」


ぴしり、ぴしり。

無機質と無表情にヒビが入り、崩れていく。

奥方の紅い唇の端が、くぃっと上がる。

それを遠くに見ながら、あたしの目は現れるモノを捉える。


あれは・・・


乾燥して筋張った皮膚。

石膏像や木彫り像のような、作り物のような質感。


あれは・・・


くぼんで空洞になった両目。

黄ばんだ歯が並ぶ口元。


あれは・・・


贅沢な着物の生地。

鮮やかな刺繍。

そして、着物の生地に大量に貼り付けられたお札。


あれは・・・ あ、れは・・・

あれは・・・そんな、そんなっ!!


「仕方ないから、呼び出してやったわ」

にいぃっと笑う、奥方の唇。


そんな・・・お兄さんっ!!!


驚愕するあたし達の目の前に、お兄さんのミイラが現れた。

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