神様修行はじめます! 其の二
行きたかった場所
奥方の表情は、すっかり変わってしまった。
憎々しさに満ち、釣り上がった目が鬼女のようだ。
すさまじい表情で奥方は叫ぶ。
「わらわが・・・わらわが永守様の妻じゃ! 妻なのじゃ!」
ダンダン!と力任せに畳を踏み鳴らす。
まるで駄々っ子のようだ。
「なのに・・・なのにあの女が! お前の生母が!」
永守様と初めて出会った日・・・
永守様は、微笑んでおられた。
わらわに向かって笑顔を向けていた。
まっすぐに伸びた背筋。
曇りの無い穏やかな目。
少しだけ赤く染まった頬。
柔らかに微笑む唇。
誰かに笑顔を向けられたのは、その日が生まれて初めてだった。
わらわに向けられる笑顔など、今まで一度も・・・。
鼓動が驚くほどに速まった。
全身が火照る。
これは・・・これはいったい何じゃ?
なぜわらわはこのような・・・?
うろたえた。
慌てて無表情の仮面を被って動揺を隠す。
神の母たる女が、うろたえた姿をさらすなど許されぬ。
『華子、そう緊張しなくても良いのだよ?』
ふわりと、永守様がお声を下された。
静かで温かなお声だった。
憎々しさに満ち、釣り上がった目が鬼女のようだ。
すさまじい表情で奥方は叫ぶ。
「わらわが・・・わらわが永守様の妻じゃ! 妻なのじゃ!」
ダンダン!と力任せに畳を踏み鳴らす。
まるで駄々っ子のようだ。
「なのに・・・なのにあの女が! お前の生母が!」
永守様と初めて出会った日・・・
永守様は、微笑んでおられた。
わらわに向かって笑顔を向けていた。
まっすぐに伸びた背筋。
曇りの無い穏やかな目。
少しだけ赤く染まった頬。
柔らかに微笑む唇。
誰かに笑顔を向けられたのは、その日が生まれて初めてだった。
わらわに向けられる笑顔など、今まで一度も・・・。
鼓動が驚くほどに速まった。
全身が火照る。
これは・・・これはいったい何じゃ?
なぜわらわはこのような・・・?
うろたえた。
慌てて無表情の仮面を被って動揺を隠す。
神の母たる女が、うろたえた姿をさらすなど許されぬ。
『華子、そう緊張しなくても良いのだよ?』
ふわりと、永守様がお声を下された。
静かで温かなお声だった。