神様修行はじめます! 其の二
大きな風を舞い上がらせて、ぶわりと氷龍が目の前に舞い降りた。

こちらを透き通った氷の目で見ながら、その体を低く屈める。


乗れって言ってるの?

あたし達を迎えに来たんだ。

じゃあやっぱり、お岩さん達になにか!?


あたしは門川君を振り返る。

彼も同じ考えらしく、無言でうなづいた。


うん、行こう! お岩さん達の所に!


「あの、主さん!」

「あぁ、いいよいいよ。さっさとお行き」

「ごめんなさい。ろくにお礼もしてないのに・・・」

「後でまとめて払ってもらうさね」

「ありがとう!・・・しま子行くよ!」

「うあぁ~~っ」


みんなで氷龍の側に集まった。

その大きな背中に乗り込もうとして、つい、躊躇する。


「天内君、急いでくれ」

「ねぇ門川君、大丈夫?」

「僕ならもう大丈夫だ。ありがとう」

「じゃなくて。この龍、体温で溶けたりしない?」

「・・・・・」


だって、どこからどう見ても氷の彫刻にしか見えないんだもん。これって。

空中で溶けて無くなったりしたら、どうするのよ。

落ちちゃうじゃないの。


「・・・心配ないから早く乗ってくれ」

「じゃあ、股間が凍傷にならない?」

「いいから早く乗ってくれっ」
< 622 / 654 >

この作品をシェア

pagetop