神様修行はじめます! 其の二
この世から跡形も無く消え去ったお兄さん、秋風さん。


月に手を伸ばし、散っていった奥方。


失われたもの、無くしたもの。


虚脱感が甦る。

どうしようもない虚無感と哀しさが。



「わたくし達はあなた様を信じ、自分でこの道を選んだのです」

セバスチャンさんが、そう言った。


「何を犠牲にしても進む覚悟でございました」

門川君を見る目は、曇りも無く。


「永久様は、立派に勝利して下さいました」

まるであたし達を慰めるように温かかった。


その言葉を聞き、門川君は・・・

うつむいて、その身をかすかに震わせた。

その姿はあたしには、やっぱりむせび泣いているようにしか見えなかった。


そうだ。あたし達は信じた。

この道が最善で、行くべき道だと。

どんな事があっても迷わず進み、決して負けないと固く誓った。


その気持ちは今でも変わらない。

もしあの時に戻れたとしても、同じ選択をすると思う。



空に朝日がさしてきた。

薄い朱と、淡い金の混じった色が天の彼方を染める。

日は昇る。


地上で何が起きようと、決して変わらず日はまた昇る。

そして人は動き出し、歩き始める。

たとえどんな夜を過ごそうとも。

信じた道を歩かねばならないから。


日は、また昇るから。



あたし達は空を見上げて


昇る日をただ見つめていた・・・。


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