神様修行はじめます! 其の二
「だいたい何ですの? まるでこれが今生の別れみたいに」

「だって・・・」

「アマンダったら、もう二度とわたくしに会いに来ないつもりですの?」

「そ、そんな事ないよ!」

「だったらいいじゃありませんの。また会えるんですもの」


お岩さんはそう言って笑った。

セバスチャンさんも。


「それに今は本当に忙しいんですのよ。婿探しも始まりましたし」

「あ・・・」

そうだ。お岩さんは門川君との婚約を解消したんだった。


平気そうな顔してるけど・・・。

恋を失って平気なはずが無い。

お岩さんは、本当にたくさんの大切なものを犠牲にしてしまった。


「ほらほらアマンダ。また情け無い顔になってますわよ」

「だって・・・」

「わたくしなら平気ですったら」

「・・・・・」

「実はもう何人か目星もつけてますのよ!」

「・・・え゛?」


もう何人か、目星を??


「あちこちの一族の次男坊三男坊から、求婚の嵐ですのよ」

「権田原は今、一番勢いのある一族ですので」

「頭脳明晰、容姿端麗、性格穏便。よりどりみどりですわ!」

「完全に買い手市場です。今が最大の好機でございます。ジュエル様」

「ええ! 一番の上物を捕まえてみせますわ!」


ほっほっほっ・・・!

はっはっはっ・・・!


お岩さんとセバスチャンさんが、声を揃えて高らかに笑った。
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