神様修行はじめます! 其の二
濃密な夜の刻が過ぎる。

甘く、かぐわしい香りが充満する中で。

繰り広げられる愛のささやき。

瞬く光。


誰にも邪魔されない時間。

確かめ合うひととき。

枝を絡め身を寄せ合う、切なくも至福の刻・・・。


あぁ全てが皆、酔いしれて・・・。



うっとりと光景を見つめるあたし。

門川君も息を呑み、目の前の幻想を見つめている。


「・・・うっ・・・」

「門川君?」

突然門川君が胸に手を当て、呻きだした。


「どうしたのっ?」

「・・・・・・・・」

彼は顔を歪めて、辛そうに目を閉じている。


「痛いの? 心臓? 苦しいの!?」

あたしは彼の手に自分の手を重ねた。

そして彼の背中をさすった。

彼は苦しそうに目を閉じたまま「大丈夫だ・・・」とつぶやいた。


どうしよう!

忙しすぎて体を壊してしまったのかも!

無理しすぎたんだきっと!

それとやっぱり、あの戦いも負担になりすぎたんだ!


今までの苦労が、彼の体を蝕んでしまったんだ!


せっかく・・・

せっかく、これから彼の新しい人生が始まるのに!
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