神様修行はじめます！ 其の二

「あ・・・門川君・・・」

あたしは目を開けて、笑顔で彼に話しかけた。

「天内君、あぁ良かった！」

「え？」

「君、急に意識を失うから心配したよ！」

「・・・え？」


意識を失う？

あたしが？　いつ失ったっけ？


「あたし、意識を失ってなんてないけど？」

「じゃあ寝てたのか」

「寝て・・・？」

「突然両目を閉じてピクリとも動かなくなるから、驚いてしまったよ」

「・・・・・」

「君、ずいぶん寝つきがいいんだね。まるで爬虫類の冬眠みたいだ」


爬虫・・・。

爬虫類の、冬眠・・・？


「疲れているんだね。無理につき合わせてすまなかった」

「あの・・・」

「もう帰ろう。部屋でゆっくり眠るといい」

「あの、門川君っ？」

「さあ帰ろうか」


そう言って彼は立ち上がり、スタスタと屋敷に向かって歩き出した。

あたしは茫然自失でその背中を見送る。


あの！　あのっ！

かど・・・門川君ってば！

ちょ・・・待・・・！


・・・・・ええぇぇっ！？


彼ってまさか、キスすらも知らないのおっ！？