神様修行はじめます! 其の二
いやそんなまさか!

いくらアッチの方の知識は皆無とはいえ!

キスくらい、その存在くらいは知ってるでしょう!?

基本的な入り口すら、彼って知らないの!?


・・・・・知らないんだ。きっと。


彼って、役所に行ってハンコを押せば、赤ちゃんが生まれると信じてるクチだ。

コウノトリが運んでくるって、絶対信じてる。

それか、お母さんがパン生地みたく一からこね上げて作成するって信じてる。


はあぁぁぁ~~~・・・。



あたしはヘナヘナと脱力してしまった。

ちょっとどーすんのよこれって。

こっからどう進めば良いわけ?


あたしが積極的にリードしまくればいいの?

リードっつったって、あたしだって未知の領域なのに。


そもそも彼って、自分の感情が恋心だって気付いてもないじゃん!

っつーか、あんた、恋愛ってものがこの世に存在してる事すら良く分かってないでしょ!


そこからか!

そこから教育しなきゃならないのか! あたしが!


はあぁぁぁ~~~・・・。


もう、溜め息しかでてこない。

さっきは幸福感で雲の上を歩いてる心地だったのに。

背中から蹴り落とされた気分。


せっかく彼の中の真実の花にたどりつけたと思ったのに。

その直前で、気付かなかったドアに激突して鼻ぶつけた気分だわ。


氷の壁は、分厚く手ごわい。

道のりは果てしなく遠い。

登山初心者の目の前に立ちはだかる、エベレストみたいだわ。
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