幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
……あったかい。



「ありがとう。小野寺」


土方が耳元で囁くのが聞こえる。



「…………何がだ」




何でだろう。

身体が火照る。




「守ってくれて、ありがとう」





‘ありがとう’




「…………ひ、じかたぁ…っ」





張りつめていた糸が切れる感覚だった。



ボロボロと、小野寺の瞳から、涙が溢れ出ていた。




「わたし……じゃなっ…僕…、ちゃんと、守れなかっ……」





青蓮院に突きつけられた言葉。



‘また守れなかったね、小野寺姫’


その言葉は、小野寺の傷口を抉るように、小野寺の中で何度もリピートされた。



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